So-net無料ブログ作成
  • ブログをはじめる
  • ログイン

ワシントン条約事務局、イワシクジラの水揚げが条約規定に反するとの報告書を発表 [クジラ]

Sei_whale_mother_and_calf_Christin_Khan_NOAA.jpg
【イワシクジラ。出典:Wikipedia Commons

 2018年8月24日(金)、ワシントン条約事務局が日本のイワシクジラ調査捕鯨に伴う鯨肉の水揚げに関する報告書(SC70 Doc. 27.3.4)を発表しました。

 日本は現在北太平洋と南極海で調査捕鯨を実施しています。北太平洋で調査捕獲対象としているのはミンククジラとイワシクジラの2種類です。

 ワシントン条約では上記鯨種をともに附属書Ⅰに掲載されています。日本はこの掲載に関し、ミンククジラについては留保を付けて条約の適用を受けないことになっていますが、北太平洋のイワシクジラについては留保を付けておらず、条約の義務に服する必要があります。

 条約では附属書Ⅰに掲載された種については、「主として商業的目的」に利用される場合の輸出入並びに再輸出及び海からの持込みを行うことは認められていません(条約第3条)。ここでの「海からの持込み」とは、公海上での魚や海産種の漁獲・捕獲・採取などを指します。

 ここでの「主として商業的目的」の利用の解釈については、「非商業的側面が明らかに支配的である(clearly predominate)と言えない全ての利用は主として商業的性質を有すると見なされるべきで、付属書I掲載種の輸入は許可されるべきではなく、使用目的が明らかに非商業的であるとの挙証責任は輸入をする側が負う」との決議が日本も賛成する形で採択されています(Resolution Conf. 5.10 (Rev. CoP15))。

 昨2017年12月にジュネーブで開催されたワシントン条約常設委員会では、日本のイワシクジラ調査捕獲に伴う鯨肉の利用が、「主として商業目的」に該当しており、条約違反ではないかとの問題が審議されました。ここでは日本のイワシクジラ肉の持込みがワシントン条約上合法であるとの発言をした国は一か国もおらず、「条約違反だ」などとの厳しい声が相次ぎました。最終的に事務局が日本に調査団を派遣し、そこで得られた結果などをもとに報告書を作成し、その報告書を2018年10月に開催される次回の常設委員会で検討することになりました。

 今回発表されたのは、その報告書です。端的に言いますと、日本のイワシクジラ調査捕獲に伴うイワシクジラ肉の国内持込みはワシントン条約違反である旨を強く示唆する内容となりました。

 一応事務局の報告書では、①常設委員会が日本のイワシクジラの調査捕獲にともなう鯨肉持込みがワシントン条約違反であると判断する場合、②常設委員会が日本のイワシクジラの調査捕獲にともなう鯨肉持込みがワシントン条約違反ではないと判断する場合、の二通りの選択肢を用意して、常設委員会に下駄を預ける形式にはなっています。しかし、事務局は日本のイワシクジラ肉の日本への持込みは「主として商業的目的」に該当すると判断するとともに、もし常設委がワシントン条約違反ではないと判断する場合には、条約の諸規定やワシントン条約で採択された決議から逸脱することになる、と述べているため、事実上の一択になっています。

 日本の担当部局である水産庁は、「科学調査目的の捕獲は国際捕鯨取締条約で認められている。ゆえにこれはワシントン条約での「主として商業的目的」での利用に該当しない」と主張していました。

 しかしこれについて条約事務局は、「国際捕鯨取締条約の規定を遵守することは、ワシントン条約を遵守することとは別である。そもそも国際捕鯨委員会やその他のどの関係国際機関も、日本の調査捕鯨が国際捕鯨取締条約を遵守したものだと判断していないではないか」とばっさり事務局報告書10頁)。

 結論としては、日本の現在実施しているイワシクジラの「海からの持込み」の調査捕獲許可発給の形式等が適切でないので、これを是正するよう常設委に勧告するとともに、「常設委員会がどう判断するかによりけりだが」との条件を付けていますが、常設委が日本に対して「主として商業的目的」に該当するようなイワシクジラ肉の日本への持ち込みを停止するよう勧告することもあり得るだろう、また必要なら、日本に対してどのような是正措置を取ったかを来年2月までに報告するよう求める勧告することをあり得るだろう、との事務局案勧告を行っています(条約事務局報告書13頁)。

 10月にロシアのソチで開催される常設委員会は私もオブザーバーとして参加する予定ですので、この議論の行方をしっかりウォッチしてみようと思っています。

nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント