So-net無料ブログ作成
  • ブログをはじめる
  • ログイン

新北西太平洋鯨類科学調査計画(NEREP-NP)専門家パネルレビュー [クジラ]

 今回は、『 IKA-NET NEWS』67号に掲載した日本の北太平洋新調査捕鯨計画についてのエッセイ「新北西太平洋鯨類科学調査計画(NEREP-NP)専門家パネルレビュー」をそのまま以下掲載しました。

続きを読む


北太平洋新調査捕鯨計画の国際法違反(国際法上の脱法操業)の可能性について:専門家パネル勧告と調査計画最終案 [クジラ]

現在商業捕鯨は日本も加盟する国際捕鯨委員会(IWC)の下で行うことが許されていませんが、同委員会を設けた国際捕鯨取締条約では、第8条で「締約政府は、同政府が適当と認める数の制限及び他の条件に従って自国民のいずれかが科学的研究を目的として(for purposes of scientific research)鯨を捕獲し、殺し、及び処理することを認可する特別許可書をこれに与えることができる」と定めています。

続きを読む


調査捕鯨:IWC科学委専門家パネル勧告の進捗状況について [クジラ]

本年5月スロベニアで国際捕鯨委員会(International Whaling Commission: IWC)科学委員会が開催され、ここで日本が今年から実施する予定の北西太平洋での新調査捕鯨計画案(NEWREP-NP)が議論されました。この計画についてはこれに先立って開催されたIWC科学委員会独立専門家パネルで「致死的調査の必要性が立証できてはいない」とする厳しい評価を受け、これを改善するための必要なものとして多数の計画修正勧告が行われました。
これらに基づき日本は調査計画を若干修正し、最終のものとしてIWC科学委員会に提出し、科学委員会では専門家パネルの勧告の進捗状況につき検討が行われました。
以下、これら検討の進捗状況を簡単に示すため、十分な修正が行われた改善勧告を達成したものには緑色、部分的に進展が見られたが、勧告を十全に達成するにはまだ至らないものには黄色、勧告に応えておらず、進展が見られないものに赤色をつけてみました。

続きを読む


北太平洋新調査捕鯨計画:IWC科学委での賛否動向について [クジラ]

本2017年5月9日から21日にかけてスロベニアで国際捕鯨員会(IWC)科学委員会が開催されていましたが、その報告書が発表されました。
https://archive.iwc.int/pages/view.php?ref=6557&k=e44fb84b94
【国際捕鯨委員会科学委員会報告書】

続きを読む


「環境政治論」配布資料

「環境政治論」の資料は以下からダウンロードできます。資料は授業前日の午後11時までにアップロードしますので、履修者は授業前にダウンロードし適宜プリントアウトして利用してください。

https://www.dropbox.com/sh/dzyyenfbf62qnvw/AAATUbIzjWr7_CQEno3r-DKGa?dl=0
【「環境政治論」資料】

nice!(0)  コメント(0) 

早大国際シンポ「水産物の透明性と持続可能性」⑤:「シーフード・ウォッチ」と「SHUN」プロジェクト [漁業資源管理]

先日早稲田大学で開催された国際シンポジウム「水産物の透明性と持続可能性」ハイライトの続きです。
第2日目の最後の第4セッションでは、水産認証制度がテーマとなりました。
一般の消費者にしてみると、どの魚が持続可能でお勧めなのか、どの魚は持続可能性の観点からやめておいたほうがいいのか、簡単にはわかりません。
そこで、世界では大きく分けて2種類の方法でそれが簡単にわかるようになる取り組みがなされています。
1つは、個々の魚種・海域毎に魚を格付けして「これはお勧め」「これは勧めない」、あるいは点数方式で表すものです。
2つ目は、持続可能性の観点から自信を持って大丈夫と言えるものに対して、エコラベルをつけるというしくみです。
このシンポジウムでは、その双方を取り上げ、それぞれプレゼンテーションいただくとともに、研究者から論点や批判点などが提示されました。

まず1つ目の取組みとして、現在「水産研究・教育機構」で作成が試みられている「SH"U"N」プロジェクトについて、同機構中央水産研究所 水産政策グループ長の牧野光琢さんからプレゼンテーションがなされました。
IMG_1389.JPG
IMG_1399.JPG
このプロジェクトは、各魚を5段階で評価して、消費者に「水産資源の状態を知っていただき、理解したうえで〝うまい〟さかなを食べていただ」くことを目指すもの、とされました。
IMG_1402.JPG
具体的な評価の方法としては、「資源の状態」「生態系・環境への配慮」「漁業の管理」「地域の持続性」という5つの角度から評価を行う、との紹介がされました。
IMG_1414.JPG
評価結果はウェブ上に公開されるとともに、スマホアプリなども今後作成されるとのことです。
IMG_1418.JPG
現在までのところ、マサバ太平洋北部系群巻網漁獲、マイワシ太平洋北部系群巻網漁獲など、4つについて施行評価が終わったのことで、したがって現在「水産研究・教育機構」のHPよりこれら4つについての評価を見ることができるとのことです。
IMG_1440.JPG
こうした情報は、今後、各地の団体や企業等が水産認証に申請する際に、これらの情報を活用することが期待できるとのことです。
IMG_1430.JPG
講演を通じ、これら「SH"U"N」では、科学的な観点から厳格な評価を行っていることが繰り返し強調されました。こうした科学的観点からの評価にもとづく「SH"U"N」などにより、「科学技術を使いこなす社会」に寄与したい、との意見表明がなされました。
IMG_1454.JPG

次に、米国モントレー・ベイ水族館フェデラル・ポリシー・マネジャーのジョシュ・マデイラさんから、同水族館が実施している「シーフード・ウォッチ」についての発表がありました。
IMG_1456.JPG
モントレー・ベイ水族館は、カリフォルニア州にある米国有数の水族館で、水族館としての機能の他に、研究機関としての役割も果たしています。
IMG_1468.JPG
IMG_1470.JPG
こうした活動の一環として生まれたのが、「シーフード・ウォッチ」です。
IMG_1466.JPG
「シーフード・ウォッチ」では、魚を三段階に分けます。緑がお勧め、黄色は注意、赤は買うのを避けるべき魚です。
IMG_1486.JPG
「シーフード・ウォッチ」では、天然魚については①その魚の資源状態はどうか、②他の魚種の混獲などの点で問題がないか、③そのさかなはどのように資源管理されているか、④その魚の生息地やその魚の属する生態系の状態はどうか、といった観点から評価される、との説明が行われました。
IMG_1499.JPG
全米のシーフードの85%は「シーフード・ウォッチ」の評価によりカバーされているとのことです。
IMG_1503.JPG
「シーフード・ウォッチ」は紙としても配布されていますが、消費者の利便向上を図るためスマホアプリにもなっているとのことです。
IMG_1511.JPG

これらプレゼンテーションを受け、学習院大学教授の阪口功さんより「水産認証・評価制度の:現状と課題」と題した発表でコメントが行われました。
IMG_1639.JPG
IMG_1638.JPG
ここで「SH"U"N」の問題として、その評価が果たして科学的に妥当であるかという論点が提起されました。
IMG_1704.JPG
まず「資源状態」からの評価基準については、
・データがあるだけで5点という最高評価が得られる。
・資源量がBlimit以下(=資源量が資源回復のための措置を必要となるほどに減っている)であったとしても漁獲死亡係数がFlimitを下回っている(=現状の漁獲水準が取り過ぎの状態にはない)であった場合、あるいは漁獲死亡係数がFlimitを上回っている(=現状の漁獲水準が取り過ぎの状態にある)状態にあっても資源量がBlimit以上(=資源量が資源回復のための措置を必要となるほどに減ってはいない)場合でも3点が得られる。
・資源枯渇リスクが中程度でも3点が得られる。
・環境変化を資源管理に反映せずとも環境変化の存在を把握するだけで3点が得られる。
― など、資源状態からみた評価が科学的に妥当と言えるかとの疑問が提示されました。
SHUN14.jpg
SHUN16.jpg
https://www.fra.affrc.go.jp/shun/procedure_manual/procedure_manual.pdf
【水産研究・教育機構「SH"U"Nプロジェクト評価手順書ver1.0.1」。資源量がBlimit以下であったとしても漁獲死亡係数がFlimitを下回っている(=資源量が資源回復のための措置を必要となるほどに減っているが、現状の漁獲水準が取り過ぎの状態にはない)場合、あるいは漁獲死亡係数がFlimitを上回っている状態にあっても資源量がBlimit以上(=現状の漁獲水準が取り過ぎの状態にあるが、資源量が資源回復のための措置を必要となるほどに減ってはいない)の場合でも3点が得られ、環境変化を資源管理に反映せずとも環境変化の存在を把握すれば3点が得られる。】


sakaguchi01.jpg
https://www.waseda.jp/inst/oris/assets/uploads/2017/02/cb0ad0f574086037b0db1c61419954fc.pdf
【阪口功「水産認証・評価制度の現状と課題」『国際シンポジウム 水産物の透明性と持続可能性 講演資料集』148頁。】

「シーフード・ウォッチ」でも評価対象とされている生態系への影響についても、「SH"U"N」では生態系の調査が行われているだけで3点が付与され、また希少種の混獲や一部の捕食者へ悪影響が懸念されていたとしても、これも3点が付与されるという採点基準の妥当性について疑問が提起されました。
SHUN06.jpg
SHUN08.jpg
SHUN09.jpg
【水産研究・教育機構「SH"U"Nプロジェクト評価手順書ver1.0.1」。生態系の調査が部分的に行われていれば3点、また希少種の混獲や一部の捕食者へ悪影響が懸念されていたとしても3点が付与される。】


sakaguchi02.jpg
【阪口功「水産認証・評価制度の現状と課題」『国際シンポジウム 水産物の透明性と持続可能性 講演資料集』148頁。】

「資源管理」の評価基準についても、「漁業者組織の一部が共同購入・共同販売等の活動を行っている」という資源管理とはあまり関係のない基準で3点が付与されるという問題点も指摘されました。
SHUN10.jpg
【水産研究・教育機構「SH"U"Nプロジェクト評価手順書ver1.0.1」。「漁業者組織の一部が共同購入・共同販売等の活動を行っている」場合、3点が付与される。】


sakaguchi03.jpg
【阪口功「水産認証・評価制度の現状と課題」『国際シンポジウム 水産物の透明性と持続可能性 講演資料集』148頁。】

「SH"U"N」にあって「シーフード・ウォッチ」にはないオリジナルな評価基準と言えるのが、「地域の持続性」という評価軸です。しかし、漁協が黒字であるだけで5点、高級消費用であるだけで5点、果ては高速道路が近くにあるだけで5点という評価がなされており、これは問題であるとの指摘がなされました。
SHUN11.jpg
SHUN12.jpg
SHUN13.jpg
【水産研究・教育機構「SH"U"Nプロジェクト評価手順書ver1.0.1」。漁協が黒字であるだけで5点、高級消費用であると5点、港・空港・高速道路が近くにあると5点が付与される。】

IMG_1645.JPG


なお早稲田国際シンポについては、この後水産認証制度についての残りの発表をもう一度取り上げる予定です。

早大国際シンポ「水産物の透明性と持続可能性」④ [漁業資源管理]

先日早稲田大学で開催された国際シンポジウム「水産物の透明性と持続可能性」ハイライトの続きです。
第2日目では、三宅香・イオン(株)執行役(環境・社会貢献・PR・IR担当)より、イオンの持続可能性についての取組み一般が紹介されたのち、イオンでは2017年4月、「持続可能な調達2020年目標」を定めており、ここで水産物については、イオン連結対象の総合スーパー、スーパーマーケット企業で、MSC、ASCの流通・加工認証(CoC認証) の100%取得をめざすこと、主要な全魚種で、持続可能な裏付けのあるプライベートブランドを提供するとの紹介がありました。
な調達についての基調講演がありました。
IMG_1036.JPG
水産物の認証商品についてはまだ数がそれほど多くないため、販促キャンペーンを行うほか一か所に集めてコーナーをつくるといった取り組みがなされているとのことです。
IMG_1055.JPG
この基調講演を受け、同じくイオン㈱の山本泰幸さんより、イオンの水産物に関する取組みについてのさらなる紹介がありました。
IMG_1295.JPG
ここでは、イオンの定めた「持続可能な調達原則」の紹介が行われたのち、イオンがMSC・ASC認証水産物の調達を拡大する意図として、水産サプライチェーンにおけるトレーサビリティ・持続可能性確保を行うにあたり、それに裏付けになるものとしてMSC・ASCを採用しているとの言及がありました。
IMG_1320.JPG
イオンはグローバルに展開する多国籍企業の側面を有していることから、特に重視しているのは、「国際基準」すなわちグローバル・スタンダードであることだ、との指摘がなされました。したがってイオンが採用する認証スキームは、フェアトレードであれMSCであれASCであれ、それがグローバル基準として通用し得るものだから、という点が強調されました。
IMG_1314.JPG
 これを受けセッション3では、花岡和佳男・(株)シーフードレガシー代表取締役社長より、「マーケットイニシアティブによるIUU対策とサステイナビリティの追求」と題する講演が行われました。
IMG_1342.JPG
ここではまず、水産業と言えば日本では衰退産業というイメージがあり、実際に日本の水産業生産量は右肩下がりだが、これとは対照的に世界全体でみれば水産物生産量が伸びており、成長産業となっていることが指摘されました。
(下の写真の右下の表はFAOによる今後の水産物生産量見通し。日本だけが2025年にはマイナス13.7%と飛びぬけて減少傾向にある)
IMG_1350.JPG
こうした世界で成長する水産業のなかで、サステナブルなシーフードが一つのトレンドとなっており、NGO、水産関連ビジネス、政治・行政が連携し、マーケットを中心としたイニシアティブが進んでいることが報告されました。
IMG_1352.JPG
こうしたサステナブルなシーフードを支えるものとして、トレーサビリティの確立が必要となってくる旨の指摘がありました。この魚が誰によってどこで獲れたものであり、どのような経路をたどり売り場まで来たのが、等こうしたトレーサビリティを支えるものとして、各企業が調達方針を策定し公開すること、情報の標準化・電子化、情報の検証と担保、情報の透明化が必要になる、との主張です。
IMG_1353.JPG
イオンからはMSC、ASCへの取り組みが紹介されましたが、花岡社長からはこれに加えて漁業改善プロジェクト(Fisheries Improvement Project)の紹介がありました。FIPとは漁業者や市場などの様々な関係者が協力し、持続可能な漁業を目指し活動するプロジェクトで、MSC・ASCとともに世界各国で広がりつつあります。日本では「オーシャン・アウトカムズ(Ocean Outcomes)」がこれを実施しています。
日本ではFIP第一号として、東京湾でのスズキ漁業が取り組まれ、この結果FIPの対象である『瞬〆スズキ』が関東の西友主要20店舗で5月から販売されています。
IMG_1360.JPG

http://www.oceanoutcomes.org/jp/
【FIPを実施しているOcean OutcomesのHP】