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今年漁期の稚ウナギ(シラスウナギ)採捕実績 [ウナギ]

 来週の7月16日(月)からジュネーブでワシントン条約動物委員会が開催されます。ウナギについても検討が加えられる予定です。

 ウナギは現在のところ、完全な養殖はできません。「シラスウナギ」と呼ばれる稚魚のウナギを捕まえてきて、これを養殖池に入れることになります。
 このシラスウナギの不漁が今年広く報道されました。最終的にどうなったかについて以下グラフにしてまとめてみました。今漁期に100kg以上の採捕量があった都道府県を抽出したものです。

シラス採捕量2018rev.jpg

* 小数点以下四捨五入
* 千葉県は採捕上限を定めていない。
* 採捕量は『日本養殖新聞』2018年6月15日付「〈保存版〉2018年国内外シラスウナギ池入れデータ」参照。
* 採捕上限についての出典は以下の通り。千葉県・茨城県・神奈川県・三重県・徳島県:県担当者からの聞き取り。静岡県:みなと新聞2018年2月2日。愛知県:みなと新聞2018年3月30日。高知県:日本経済新聞2018年2月28日。宮崎県:みなと新聞2018年4月2日。鹿児島県:みなと新聞2018年4月9日。

 上記グラフからもわかるように、いずれの県でも採捕量は前年を下回り、特に神奈川、愛知、三重、徳島、高知、宮崎、鹿児島で大幅に落ち込んでいることがわかります。
 今年漁期の始まり(2017年終り~2018年初め)、シラスウナギは大不漁に見舞われましたが、それを何とか補ったのが漁期の終わり(2018年3~4月)の関東地方等東日本でまとまった採捕が見られたことです。しかし千葉県はそもそも採捕上限を設けておらず、茨城県や神奈川県の採捕上限も実際の採捕量からかけ離れたものが設定されていることが上記の表からも理解されます。これではせっかく遅れて回遊してきたシラスウナギをあるだけ捕ってしまうことに繋がりかねません。 

 以下はシラスウナギがどれだか養殖池に入れられたかを示したものです。ここからも、その量が年を追うごとに減っていっていることがわかります。

池入れ量.jpg

* 2003-2017年度の池入れ量は、水産庁「ニホンウナギ稚魚(シラスウナギ)の池入れ動向について」、2002年以前及び2018年度については、日本養殖新聞2018年6月15日付を参照。

 天然ウナギの漁獲量です。1961年に3,387トンだったものが、2015年にはわずか70トンに減少しています。

天然ウナギ漁獲量.jpg

* データ出典:e-Stat・ 政府統計の総合窓口「海面漁業生産統計調査」

 なお、ニホンウナギについては、その減少の度合いから鑑み、ワシントン条約附属書Ⅱの掲載基準を十分に満たすと考えられます。その理由については拙ブログ「ニホンウナギはワシントン条約の付属書掲載基準を満たすのか?」に書きましたので、ご関心がありましたらご覧ください。


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News report on the catch of glass eels (eel larvae) and its import [ウナギ]

Anguilla_japonica.jpg
【ニホンウナギ。出典:Wikipedia Commons

4月7日にポストしたシラスウナギ(ウナギ稚魚)の漁獲激減に関する各紙報道と輸入について記事の英語版が野生生物保全論研究会(JWCS)さんのウェブサイトにアップされましたので、リンクを張ります。ご参考までに。

News report on the catch of glass eels (eel larvae) and its import
【JWCSウェブサイト】

こちらの記事についてはSustainable Eel Groupのウェブサイトでも紹介されました。



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「ウナギ稚魚の記録的不漁」報道と輸入トレンド [ウナギ]

 今回は、新聞各紙で報道されているシラスウナギ(ウナギ稚魚)の記録的不漁について、及び輸入のトレンドについてまとめてみました。

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シラスウナギ(ウナギ稚魚)の漁獲状況に関する各紙報道と輸入について

真田康弘(早稲田大学研究院客員准教授)


今漁期の「シラスウナギの記録的不漁」報道について

2016年ウナギ生産量.jpg
出典:日本養殖漁業協同組合連合会「都道府県別ウナギ生産量」


 日本でウナギの養殖が盛んであるのは上図のように鹿児島、愛知、宮崎、静岡であり、これら地域ではシラスウナギ(ウナギの稚魚)の漁獲も盛んである。
 
 今年漁期については2017年11月から今年漁期のシラスウナギ(ウナギ稚魚)漁が開始されたが、2018年1月中旬、現時点での国内外の漁獲量が前年漁期比で1%程度にとどまっているとして、各紙(毎日新聞2018年1月15日日本経済新聞1月17日、読売新聞1月22日、南日本新聞1月15日等)で記録的大不漁である旨報道された。

 3月以降に入り漁獲状況が持ち直しつつあるとの報道もなされている。例えば静岡県(採捕期間2017年12月1日~2018年4月30日)では、採捕許可量が1,775キロであるところ、1月20日までの時点で16.5キロと許可量の1%以下、前年漁期比でも2%程度でしかなかったところ(みなと新聞2018年2月2日)、3月1日~20日の採捕量は360キロと、例年3月の採捕量である300キロ前後を上回り、3月20日までの累計漁獲量は516キロとなった(みなと新聞2018年4月5日)。
 高知県(当初採捕期間2018年12月16日~3月5日)でも、採捕上限量350キロに対して2月26日時点での採捕量は9.5キロ(昨年は終了時で260キロ漁獲)と採捕上限の3%を下回る極端な不漁であったところ(日本経済新聞2018年2月28日)、漁期を3月20日まで延長したところ、4月6日までに高知県がまとめた集計で121.9キロに達したと報道されている(高知新聞2018年4月7日)。

シラスウナギ採捕量.jpg

*静岡県は3月20日までの採捕量、愛知県は2月末までの採捕量であり、今後採捕量が増加すると考えられる。 ** 上図の採捕上限及び採捕量の出典は以下の通り。静岡県2017年漁期採捕上限:みなと新聞2018年2月2日。静岡県2016年度漁期採捕量:中日新聞2018年1月11日。静岡県2017年漁期採捕量(2018年3月20日まで):みなと新聞2018年4月5日。愛知県2017年漁期採捕上限及び採捕量(2018年2月末まで):みなと新聞2018年3月30日。高知県2017年漁期採捕上限及び2016年採捕量:日本経済新聞2018年2月28日。2017年漁期採捕量:高知新聞2018年4月7日。宮崎県2017年漁期採捕上限及び採捕量:みなと新聞2018年4月2日。宮崎県2016年度漁期採捕量:宮崎日日新聞2017年3月22日付、鹿児島県2017年漁期採捕上限と採捕量:みなと新聞2018年4月9日、鹿児島県2016年及び2017年漁期採捕量:南日本新聞2018年4月6日。 *** 愛知県の2016年採捕量が空欄になっているのは現段階で筆者がデータを有していないためであり、採捕がなされなかったことを意味しない。

 しかしながら、静岡県で3月20日までの累計採捕量は前年同期比で7割減であり(みなと新聞2018年4月5日)、高知県にしても漁獲量は前年に比べて半分以下、採捕上限比35%に過ぎない(上図参照)。宮崎県(採捕上限500キロ)では、今期(2017年12月11日~2018年3月25日)の採捕量は99.4キロと前年同期比8割減、統計を取り始めた1994年度以降で最低の量となった(みなと新聞2018年4月2日)。鹿児島県でも3月31日にシラスウナギ漁が終了したが、許可量1,883キロに対して実際に採捕されたのは192.2キロと1割程度、前年漁期漁獲量(577.7キロ)と比べても約33%にとどまり、2012年度の149キロに次いで過去2番目の低さとなった(みなと新聞2018年4月9日付・南日本新聞2018年4月6日)。
 この他まだ漁期は終了していないが、広島(漁期2018年2月1日~4月30日)ではシラスウナギ漁が認められている福山市の芦田川漁協と呉市の養殖業者では、3月中旬時点での採捕量は芦田川漁協では昨年比4割、呉市の養殖業者では1割以下にとどまっている(中国新聞2018年3月25日)。愛知県(漁期2017年12月16日~2018年4月30日)の2月末までの採捕量(採捕上限2,000キロ)は24.2キロと前年の同じ時期に比べて5%しか採捕されていない(みなと新聞2018年3月30日)。水産庁によると、3月末日までの養殖池に入れられたシラスウナギ(国内で採捕されたものと海外で採捕され輸入されたものにより構成される)の量は、8.8トンとなっており、前年同期(18.6トン)と比べて大きく下回っており、これは「日本を含む東アジア全域でシラスウナギ採捕が不調であり、採捕量が減少していることによる」としている(水産庁「ウナギをめぐる状況と対策について」、2018年4月、4頁)。
 以上をまとめると、3月に入り漁獲量が増えた地域はあるものの、現時点では全体として漁獲量は前年に比べて顕しく減少しており、記録的な不漁に見舞われた地域があると結論付けられる。


台湾からの密輸であることが強く疑われる香港経由のシラスウナギ輸入について

 日本のウナギ養殖は国産のシラスウナギだけでは養殖池に入れるための需要を賄えないため、外国から輸入にその一部を依存している。例えば2016年に養殖のため池入れされたシラスウナギ19.7トンのうち、約30%に相当する6.1トンは外国からの輸入となっている(水産庁「ウナギをめぐる状況と対策について」、2018年4月、4頁)。

シラスウナギの輸入量.jpg
出典:財務省貿易統計
 
 上図は日本のシラスウナギ輸入を国別に分けたものであるが、これを見て理解されるように、輸入の多くは香港からとなっている。例えば、2016年の輸入量総計9,373キロのうち約84%の7,832キロは香港からのものである。しかしながら、香港にはシラスウナギが遡上する河川はほとんど存在しないため、ほぼその全ては他国から輸入されたシラスウナギが香港を経由して日本に輸出されているものと考えられる。

 加えて上図から理解されるように、香港からのシラスウナギ輸入が急増したのは2007年以降であり、これはそれまでシラスウナギ供給先であった台湾が原則としてシラスウナギの輸出を禁止した時期と一致している。したがって香港から日本に輸出されるシラスウナギの大部分は台湾から違法に輸出されたものと強く推量される。関係者の間でも香港からのシラスウナギの大部分が台湾経由のものであることは周知の事実であるが、香港当局も日本の当局もこうした密輸由来のシラスウナギの防止する対策を一切講じておらず、WWFの調査でもウナギは日本の輸入水産物のなかで最もIUU(違法・無報告・無規制)漁業由来のリスクが高いと指摘されている(WWF Japan, “IUU Fishing Risk in and around Japan: Final Report,” May 2017)。

シラスウナギ2017年漁期輸入量.jpg
 
なお、上図は現行の2017年漁期におけるシラスウナギの輸入量である。この図からも理解されるように、ビカーラ種と推測されるフィリピンからのもの以外は全て香港からの輸入である。


国内的・国際的規制の必要性について

 シラスウナギは少なくとも一部地域において記録的な不漁となっているばかりか、2016年漁期(2016年11月~2017年4月)にかけて国内で採捕されたシラスウナギのうち、45.45%に違法取引の疑いがあると報道されており(静岡新聞2017年6月14日など)、IUU漁業が蔓延している。
 こうした違法行為には反社会勢力が介在している場合が存在している。例えば2017年8月、高知地裁は密漁事件で県漁業調整規則違反に問われた暴力団員ら3人に対して懲役5カ月執行猶予3年の有罪判決を言い渡し判決が確定し、高知地検幹部は「証拠上、密漁が暴力団の資金源だと明確になった」としている朝日新聞2018年1月11日)。「ヤクザがいないと養鰻業者の池は埋まらない」との関係者の証言も報道されており*、密漁・密輸の蔓延という事態は水産物に対するトレーサビリティ制度が整備されていない日本においても際立ってひどい状態であると言わざるを得ない。今年度のシラスウナギの不漁を受け、「アリー効果を考慮すると、ニホンウナギ個体群が急激に崩壊へ向かう、または向かっている可能性も想定できる**」との専門家からの指摘などをも併せ鑑みると、国内的には暫定的全面禁漁措置を含んだ大胆な規制、罰則の大幅な強化が必要であると考えられる。にもかかわらず、高知と鹿児島では不漁を受けてシラスウナギ採捕漁期の延長を行うという規制の緩和を行っており(高知新聞2018年2月28日・みなと新聞2018年3月13日)、現段階では状況は末期的と言わざるを得ない。

* 鈴木智彦、Wedge編集部「ウナギ密漁:変わらぬ業界、支える消費者」『Wedge』2015年8月号、23頁。
** 海部健三「2018年漁期 シラスウナギ採捕量の減少について その1:ニホンウナギ個体群の「減少」 〜基本とすべきは予防原則、重要な視点はアリー効果〜」、 2018年1月29日。

 国際的にも、現在ウナギを管理する有効な国際的な法的拘束力を伴う関係国による地域枠組みが欠けていること、漁獲量が劇的に削減していること、「重大あるいは取り返しのつかない損害の恐れがあるところでは、十分な科学的確実性がないことを、環境悪化を防ぐ費用対効果の高い対策を引き延ばす理由にしてはならない(環境と開発に関するリオ宣言第15原則)」、「十分な科学的情報の欠如を対象種、関連種又は依存種及び非対象種並びにその環境を保存するための措置をとることを延期する又は履行しない理由とすべきではない(FAO責任ある漁業のための行動規範6.5)」という予防的アプローチ(乃至予防原則)に鑑み、ワシントン条約で少なくとも附属書Ⅱに掲載すべきと考えられる。


JWCSウナギ・ファクトシート 内水面ウナギ漁獲量.jpg
日本の内水面における黄ウナギ・銀ウナギの漁獲量(農林水産省「漁業・養殖業生産統計年報」)
出典:JWCS、「ニホンウナギの生息状況と日本におけるウナギ養殖・販売の現状」、2頁。

 ニホンウナギに関して入手可能なデータは、おもに漁獲量のみであり、農林水産省の「漁業・養殖業生産統計年報」にあるデータでは、日本の内水面における黄ウナギ・銀ウナギの漁獲量は、1960年代には3000t前後であったが、2016年にはわずか68tにまで減少したことが示されている(上図参照)。
 ヨーロッパウナギの附属書Ⅱ掲載提案がされた際、この提案を評価したFAO専門家パネルは、資源が基準レベルから15~30%に減少した場合附属書掲載基準を定めたワシントン条約締約国会議決議9.24に定められたAnnex 2a Aの基準に合致とみなし、1950~1980年もしくは1970~1980年の加入量を基準レベルと考えた場合、この基準レベルから9~19%に減少しているとして、当該種が附属書掲載基準に関する決議Conf.9.24のAnnex 2a A基準を満たしていると判断している*。ニホンウナギは漁獲量でみるならば3%以下であるため、「15~30%」のラインを大幅に下回っている。
 確かに漁獲量は資源のトレンドを必ずしも正確に反映するものではない。しかしながら、入手可能なデータが漁獲量に限られること、また、2016年にワシントン条約締約国会議でイトマキエイ類の付属書Ⅱ掲載提案がなされた際、漁獲量データがその根拠とされ、FAO専門家も漁獲量データを用いて当該種が掲載基準を満たしていると判断**、締約国会議でも掲載が可決されたこと、及び決議Conf.9.24のpara. 2でも定められている予防的アプローチを鑑みるならば、ニホンウナギは附属書Ⅱ掲載基準を十分に満たしていると考えられる。


* FAO, "Report of the Second FAO Ad Hoc Expert Advisory Panel for the Assessment of Proposals to Amend Appendices I and II of CITES Concerning Commercially-Exploited Aquatic Species," FIMF/R833 (En) (2007), p. 91
** FAO, "Report of the Fifth FAO Ad Hoc Expert Advisory Panel for the Assessment of Proposals to Amend Appendices I and II of CITES Concerning Commercially-Exploited Aquatic Species," FIAF/R1163 (En) (2016), pp. 36 - 45.


※ ニホンウナギがワシントン条約附属書掲載基準を満たすか否かについての詳細は、以下の拙ブログ参照。
真田康弘「ニホンウナギはワシントン条約の付属書掲載基準を満たすのか?」、2018年1月6日


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「ウナギ資源の減少 ワシントン条約で規制を」(共同通信配信拙稿) [ウナギ]

 共同通信配信で、佐賀新聞(2018.1.24)、静岡新聞(2018.1.25)、FujiSankei Business i (2018.1.26)、北海道新聞(2018.2.3)などで掲載されましたウナギとワシントン条約についての拙稿、以下原文掲載いたします。ご参考までに。挿入されている写真や図表はブログ用に付け加えたもので、新聞記事には掲載されていません。

 (ちなみに以下の一枚目のワシントン条約締約国会議の写真には拡大してよく見ると一か所はっきりわかるおかしな英語表記があります(私が写真を合成したわけではありません)。ヒントはこのブログのその後に出てくる会議の写真です。ちなみにあとの写真では、そのおかしな英語表記がなおっています)

IMG_8929.JPG
【2016年9~10月に南ア・ヨハネスブルクで開催されたワシントン条約第17回締約国会議の模様】

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ウナギ資源の減少 ワシントン条約で規制を-早稲田大客員准教授・真田康弘
〈静岡新聞2018.01.25 朝刊 25頁 共同〉
 
 
 ウナギを扱う関係者から悲鳴が聞こえる。絶滅危惧種ニホンウナギの稚魚、シラスウナギの漁獲量が国内外で前の漁期の同じころと比べて1%程度と極端に低迷しているからである。
 資源が極めて憂慮すべき状態にあることは以前より問題となり、日中韓3か国と台湾は非公式協議を開き養殖池に入れるシラスウナギの量の上限を定めている。だが、枠が大きすぎて規制の意味を有していない上、近年中国はこの協議にすら出席していない。台湾はシラスウナギの輸出を原則禁止しているが、これが香港へ密輸され日本に流れていることは業界の常識である。密輸や違法採捕には反社会勢力がしばしば関与しているとも指摘される。状況は末期的だとすら言える。

Anguilla_japonica.jpg
【ニホンウナギ。出典:Wikipedia Commons*】

 危機を打開する一策としてワシントン条約による規制を提案したい。日本の業界には「輸出入ができなくなる」と、この条約に拒否反応を示す向きもあるようだが、使い方によっては、この条約はウナギの持続可能な利用をむしろ促進するのである。

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【ワシントン条約第17回締約国会議の模様】

 確かに条約の付属書Ⅰに掲載された場合、商業的な輸出入は禁止される。しかし、この条約には付属書Ⅱという別のリストがあり、この場合、輸出国が「輸出しても種の存続には害がない」と示した許可証を発給すれば、国際取引ができる。もちろん違法漁獲ウナギや密輸ウナギではこの証明ができないので、違法取引の抑止に役立つ。
 ワシントン条約では付属書Ⅱに掲載して海産種の持続可能な利用を図ろうとする動きが近年の流れとなっている。一昨年の締約国会議でも、多数の先進国と途上国が共同でサメやエイの掲載を提案、圧倒的多数で採択されている。

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【ワシントン条約第17回締約国会議の模様】

 付属書掲載基準の詳細は条約の決議で定められており、海産種についてはこれに基づき条約事務局やFAO(国連食糧農業機関)が助言する。FAOはヨーロッパウナギについて「基準となる量の15~30%まで減少していることが付属書Ⅱ掲載の目安で、ヨーロッパウナギはこの基準を満たしている」と勧告、2007年の締約国会議で付属書Ⅱ掲載が決定した。
 農水省統計によると、日本の内水面での親ウナギの漁獲量は、2016年には1960年代に比べ3%程度にまで落ち込んでいる。15~30%どころではない。確かに漁獲量は資源量を正確には反映はしないが、一昨年の締約国会議では、一部の地域で漁獲量が大幅に落ち込んでいるとしてイトマキエイに対する付属書Ⅱ掲載提案がなされ、FAOも漁獲量の落ち込みを理由に「掲載が妥当」と判断。締約国会議で掲載が決まった。こうしてみるとニホンウナギは少なくとも付属書Ⅱの掲載基準を満たしていると考えられよう。

JWCSウナギ・ファクトシート 内水面ウナギ漁獲量.jpg
【日本の内水面における親ウナギの漁獲量。JWCS、「ニホンウナギの生息状況と日本におけるウナギ養殖・販売の現状」、2頁。https://www.jwcs.org/wp-content/uploads/JP_EelsinJapan.pdf

 象牙の違法取引などで日本は国際社会からワシントン条約の「問題児」と見なされることも少なくない。だがもし、最大の消費国である日本が率先してニホンウナギの付属書Ⅱの掲載を提案すれば、日本のこのイメージは一新されるだろう。そして何より付属書Ⅱへの掲載は、ウナギの違法取引を抑止し、反社会勢力への資金の流れを断ち切る重要な武器となるだろう。ウナギを末長く、持続的に利用するため、今こそ日本のリーダーシップが期待される。

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【ワシントン条約第17回締約国会議の模様】

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◆ 関連ブログ記事
「ニホンウナギはワシントン条約の付属書掲載基準を満たすのか?」
http://y-sanada.blog.so-net.ne.jp/2018-01-06

「シラスウナギの輸入量」
http://y-sanada.blog.so-net.ne.jp/2017-08-06

「ウナギとワシントン条約(『WEDGE』掲載記事)」
http://y-sanada.blog.so-net.ne.jp/2017-07-30



* https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Anguilla_japonica.jpg


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ニホンウナギはワシントン条約の付属書掲載基準を満たすのか? [ウナギ]

 私の研究対象の一つはワシントン条約での多国間環境交渉なのですが、その関係から去年も下部委員会の動物委員会と常設委員会にオブザーバー出席しました。今年も7月に動物委員会が、10月に常設委員会が開催されるので、それに出席する予定です。

IMG_9956.JPG
[ワシントン条約第17回締約国会議(2016年・ヨハネスブルグ)の模様。スクリーンに映っているのは条約事務局長]

 ここで日本に関係する種の一つとして挙げられるのがウナギです。特に2019年5月から開催予定の締約国会議で、ニホンウナギについて付属書掲載提案が出るのか等何らかの動きがあるのかどうかが注目されます。

 それでは、ワシントン条約ではどのようなとき、付属書に掲載されることがあるのでしょうか。また、ニホンウナギは付属書掲載基準を満たでしょうか。
 結論から言うと、ニホンウナギはワシントン条約付属書掲載基準を満たします。以下、その理由を説明します。

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シラスウナギの輸入量 [ウナギ]

 現在ウナギはゼロからの養殖ができないため、天然のウナギ稚魚(シラスウナギ)を捕獲し、これを養殖池に入れて育てることになります。
 国産のウナギを養殖するには国内でのシラスウナギの量だけでは足りないため、外国から輸入することになります。2007年までは主として台湾から輸入していましたが、台湾がウナギの稚魚の輸出を禁止したため、香港経由で入ってくることになりました。この場合、台湾→香港→日本となりますが、このうち台湾→香港のルートが「密輸」ということになります。

eel.jpg

 以下が、シラスウナギの輸入がどこから入ってきているのかを財務省貿易統計に基づいて主たる輸入国を抽出してグラフ化したものです。台湾からの輸入が途絶えたとたんに香港からの輸入が激増し、現在に至っていることがわかります。また、昨年はその前の年に比べて香港からの輸入が倍増していることがわかります。この他やや気になるのは、フィリピンからの輸入が増えている点です。

ウナギ稚魚の輸入量.jpg
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ウナギとワシントン条約(『WEDGE』掲載記事) [ウナギ]

ウナギとワシントン条約に関して『WEDGE』に掲載した拙稿を以下掲載します(写真は『WEDGE』に掲載されたものとは異なります)。

IMG_0002.JPG
【ワシントン条約第17回締約国会議(2016年)】

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ニホンウナギに関する東京新聞記事 [ウナギ]

 先日取材を受けたウナギに関する東京新聞記事です。
 実際に先週開催されたワシントン条約動物委員会に参加した際の印象ですが、確かに現在ニホンウナギに対する関心は大きいとは言えませんが、台湾からの密輸問題等がクローズアップされれば付属書掲載提案が出される可能性が大きいのではないかとも思われます。


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「ニホンウナギ 台湾 絶滅危惧種へ 日本が輸出入交渉」【東京新聞2017.7.25特報1面】

「今日は土用の丑(うし)の日。といえば、ウナギのかば焼きだが、ニホンウナギが日本に続き、台湾でも絶滅危惧種に指定されることになった。そうした中、国と業界団体は台湾との輸出入を解禁する交渉を進めている。国際的な「密輸」を透明化するためというが、「絶滅危惧種保護」の流れに逆行しないか。(橋本誠)
 台湾政府は十九日、ニホンウナギを絶滅危惧種(レッドリスト)に指定することを明らかにした。
 「レッドリストに入ると聞いて、驚いた。かなり資源状態が悪いということだ」。野生生物の取引監視団体「トラフィック」の白石広美さんは、この指定を深刻に受け止める。ちなみにニホンウナギは日本の環境省、国際自然保護連合(IUCN)も、絶滅危惧種に指定している。
 ニホンウナギの養鰻(ようまん)の種苗となる稚魚(シラスウナギ)は、日台間で輸出入が事実上禁じられている。水産庁によると、日本から台湾への輸出が市場への影響を懸念する日本側の業者の要望で、一九七六年に禁止に。台湾側は解除を求めたがかなわず、二〇〇七年から対抗措置として日本への輸出を禁止した。
 稚魚の輸入はほぼ全量が台湾からだったが、〇七年以降は香港からに変わり、今年も四・一トンが輸入されている。だが、香港では漁はほとんどされておらず、台湾産の稚魚が香港経由で日本に輸出されているのは「公然の秘密」。昨年十一月には、香港へ向かう台湾人らの荷物から三十二万匹の稚魚が見つかり、台湾の空港で押収された。
 こうした不透明な流通を正常化するとして、水産庁と養鰻業界は日台の輸出入禁止の解除を台湾側と協議している。水産庁の担当者は「日本、台湾、中国、韓国で資源管理を話し合い、養殖する量に上限を設けたため、日台間の輸出制限に意味が無くなった。台湾から直接輸入できるようになれば、香港を経由することもなくなる」と説明する。
 昨年のワシントン条約(絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)締約国会議で、全てのウナギ種の資源状況と取引について議論する提案が採択されたことも影響している。日本養鰻漁業協同組合連合会の担当者は「稚魚の減少に加え、ワシントン条約の話もあり、このままでは養鰻業ができなくなる。ウナギを消費者に供給する責任もある」と話す。
 しかし、輸入解禁の動きには疑問点も多い。日本自然保護協会の辻村千尋保護室長は「日本に入るウナギの半分以上は、どこから来ているか分からない状態。そういう中で、ただ台湾から直接輸入できるようにすれば、密漁された稚魚も合法的に輸入されたように見えてしまう」と批判する。
 根本的には、生産と流通履歴の管理徹底が必要と指摘。「稚魚を取る業者から市場に回す業者まで、全段階で記録をとり、何日間かけて、何トン取ったのか報告させるべきだ。それ抜きには輸入禁止以外に、密漁は止められない」と訴える。白石さんも「輸出時に台湾政府が事前承認する形にすべきだ」と求める。
 早稲田大地域・地域間研究機構の真田康弘客員次席研究員(環境政策)は「そもそも絶滅危惧種に指定される種の輸出が解禁される可能性があるのか」と疑問を呈すとともに、日本側が働き掛けて輸出を解禁させる考え方が「資源保護に逆行する」と断言する。
 「短期的には稚魚の輸入を合法化できても、乱獲が続くことで、将来ウナギが食べられなくなる可能性がある。国際的な日本のイメージが悪化するのも必至。ワシントン条約による規制も避けられなくなる」」

ワシントン条約・ウナギ決議に関するエッセイ [ウナギ]

 日本環境法律家連盟(JELF)発行のニューズレター『環境と正義』2017年1月・2月号に書いたワシントン条約・ウナギ決議に関するエッセイをアップしました。
 ワシントン条約については、科研費の研究として今後も継続して追ってゆく予定です。今年は7月の動物委員会と12月の常設委員会に参与観察に行こうと思っています。
環境と正義(2017.1-2)(CITESウナギ・真田)_ページ_1.png環境と正義(2017.1-2)(CITESウナギ・真田)_ページ_2.png環境と正義(2017.1-2)(CITESウナギ・真田)_ページ_3.png
ワシントン条約(CITES)第17回締約国会合報告㊤:ウナギ調査決議と日本のウナギ規制

 9月24日から10月4日まで、南ア・ヨハネスブルグで野生動植物の国際取引等を規制するワシントン条約の第17回締約国会合が開かれ、筆者も前回締約国会合に引き続き政府とは独立のオブザーバーとして会議の模様を傍聴した。そこで本小論ではこの会議のハイライトを2回に分けて紹介しようと思う。今回は、会議全般についてと日本でも報道されたウナギに関する決議について触れたい。
 まずワシントン条約の簡単な紹介から始めよう。この条約の正式名称は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)」、英語の正式名称の頭文字を取って「CITES(サイテス)」と略称されている。1973年にワシントンで条約が採択されたことから、日本では「ワシントン条約」と通称されている。締約国及び地域は現在182カ国と欧州連合(EU)であり、約3年に一度締約国会合が開催されている。
 この条約は条約本文の他に、付属書Ⅰ・付属書Ⅱなどにより構成される。付属書Ⅰに掲載される動植物は、絶滅のおそれがあり商業取引による影響を実際に受けている、あるいは受ける可能性があるもので、輸出入が原則として禁止される。例外的に許される学術・研究目的等の非商業的取引を行う場合には、輸出国の輸出許可と輸入国の輸入許可双方が必要になる(条約第3条)。付属書Ⅱには、現在必ずしも絶滅のおそれはないが、輸出入を厳重に規制しなければ絶滅のおそれのある種、あるいはこれらの種の輸出入を効果的に取り締まるために規制しなければならない種が掲載される。付属書Ⅱに掲載された種については、輸出入に際して輸出国の許可を受ける必要がある(第4条)。付属書ⅠとⅡの修正及びその他の決議は、締約国会議で3分の2の多数決で採択される。
 今回締約国会議が開催されたのはヨハネスブルグ北部サントン地区にあるサントン・コンベンションセンターだ。ヨハネスブルグ中心部の治安状況は悪く、この結果企業や富裕層がサントン地区に移住し、この地区の開発が進んでいる。ヨハネスブルグの中でサントンは治安が最も良好であるとされているが、全ての建物には電気柵のついた高い塀が張り巡らされ、ホテルや会社の門には警備員が常駐している。ただ、会場周辺には多数の警察車両と警官が配置されていることから安心して移動することができた。
 この会議には世界中から環境NGOが多数参加している。特に今回最大の目玉となっているのがサメやエイの付属書Ⅱ掲載提案と象の国内市場閉鎖提案であるため、これらに関係している環境NGOの姿が目立っていた。日本からの環境NGOとしては野生生物保全論研究会(JWCS)とトラ・ゾウ保護基金が参加した。日本からは業界団体からの参加者が相対的に多い。ちなみに日本の政府代表団は海産種担当の水産庁や、象牙を担当する経産省のプレゼンスが大きく、多国間環境条約の会議である筈なのに、環境省の存在感は高いと言えない。
 この会議で日本にとって相対的に注目を浴びた問題は、ウナギに関する決議であった。現在ワシントン条約ではウナギのうちヨーロッパウナギについては2007年に開催された第14回で付属書Ⅱの掲載が採択され、2009年より国際的規制が導入されている。ヨーロッパウナギの付属書掲載は、同種の資源量の著しい減少とこれにもとづく国際自然保護連合(IUCN)による絶滅危惧種指定等を受けたものである。現在ヨーロッパウナギは絶滅危惧カテゴリーとして最も上位の絶滅危惧1A類(critically endangered)に指定されており、EUは2010年12月以降同種に対しての輸出許可を発給していない。ニホンウナギも資源状態は非常に悪く、1957年には200トン以上あったシラスウナギ(ウナギの稚魚)の国内採捕量は現在約15トン程度と10分の1以下に激減している(表参照)。IUCNも2014年にヨーロッパウナギより1ランク下の絶滅危惧IB類(endangered)に指定している。あくまでIUCNの「レッドリスト」の分類上の話であるが、ニホンウナギと同様に絶滅危惧1Bに指定されているものとして、シロナガスクジラ、タンチョウヅルやトキなどが挙げられる。上記二種以外に関しても、アメリカウナギはニホンウナギと同じく絶滅危惧IB類(endangered)に、東南アジアなどに生息するビカーラ種についても準絶滅危惧種(near threatened)に指定されている。
 ニホンウナギについてはEUなどから付属書掲載提案が出るのではとの観測もあったが、結局EUはそれに代えてCITESの下での調査を求める決議案を提出した。具体的には、①CITES事務局が独立コンサルタントと契約し、ヨーロッパウナギ及びその他のウナギについて調査を行い、②事務局が上記の調査報告書を下部委員会の動物委員会に提出するとともに、適宜国際ワークショップを開催すること、③動物委員会は検討の後次回の締約国会合に勧告を行うこと、④同じくCITESの下部委員会である常設委はヨーロッパウナギの違法取引につき検討し、適宜勧告を行うこと、等を求めている。
 この提案に対して日本は、この問題は地域的な協力の枠組みによって解決されるべきであり、またヨーロッパウナギが既に付属書Ⅱ掲載によって規制の効果が得られたのかを明らかにすべきであると主張して規制に消極的な姿勢を示したものの、決議案への反対自体は見送った。この結果決議は 全会一致で決議案が承認され、本会議でもそのまま採択された。
以上のように、ウナギについてはCITESの下で実施される調査を踏まえ、次回の締約国会合でどうするかが検討されることになる。しかし、ニホンウナギに対する資源保護への取り組みが現状のままのものにとどまるなら、付属書掲載が提案されることは避けられないのではないかと思われる。 現在日本は2014年に採択した中国・韓国・台湾との共同声明に基づき、ニホンウナギの池入れ量を直近の数量から2割削減するととともに、法的拘束力のある枠組みを設立するための非公式協議を行っている。しかしながら、池入れ2割削減は科学的根拠に基づいておらず、これによって資源の持続性が担保されるものではない。法的拘束力ある枠組に関する交渉も、中国の協議不参加等により一向に進展が見られない。
 10月末に中央大学・日本自然保護協会等の主催で東京で開催されたシンポジウム「うなぎ未来会議」 では、昨年漁期に国内で養殖したウナギの約7割が無報告採捕物または違法取引物と推定されるとの衝撃的な報告が海部健三・中央大学准教授から行われた(みなと新聞2016年11月1日付)。シラスウナギの輸入については、かつての最大の輸出国だった台湾が禁輸措置を取って以降、香港からの輸入が激増している。香港にシラスウナギ漁が可能な川は存在せず、香港からの輸出は大部分が台湾からの密輸であることは関係者間では周知の事実である。「闇屋が跋扈し、国際的なシラス・ブローカーが暗躍し、暴力団も関与している」との指摘がなされている通り(『Wedge』2015年8月号)、ウナギに関する違法行為と反社会勢力の関与という黒い噂は絶えず、事実、今年に入ってからもシラスウナギの密漁もしくは無許可所持で暴力団員が宮崎県と香川県で逮捕される事件が発生している(朝日新聞2016年2月21日付宮崎版・4月8日香川版)。
 こうした現状に対する関係者の認識は残念ながら極めて不十分である。業界団体である日本鰻輸入組合の代表は「組合として台湾からのシラス輸入防止に向けて何らかの対策をうつつもりはない。香港からの輸入は日本政府も認めている」と居直り(『Wedge』2016年8月号)、主管庁である水産庁も「闇流通はシラス高騰につながるものの、資源管理とは別問題。闇流通のシラスも最終的には養殖池に入る」と強調、現行の池入れ量規制でもシラスの過剰採捕を防げるとの理解に苦しむ他ない釈明を行うばかりである(みなと新聞2016年10月17日)。
 ただ、こうした現状に危機感を抱き、積極的な対策を促す動きも活発になりつつある。その一つが、先述した「うなぎ未来会議」など研究者発のイニシアティブである。同会議では一般を交えた「市民パネル」が設けられ資源保護に対する議論が行われるなど、積極的な世論喚起が行われるとともに、「国内で養殖したウナギの約7割が無報告採捕物または違法取引物」との海部准教授の調査結果は、「店頭で並んでいる国産ウナギ50匹分がすべてが適切に供給されたものである確率はゼロに近い」との説明とともに、11月10日に衆議院第一議員会館で開催された「違法漁業から水産資源・水産業を守る国際シンポジウム」でも報告された。
 マスメディアの側でも関心は高まりつつある。共同通信では井田徹治編集委員が従来からウナギの問題に関して積極的に記事発信を行ってきたが、近年では月刊誌『Wedge』ウナギ密漁・密貿易問題に関して独自取材に基づく記事を発信している(『Wedge』2015年8月号特集記事「ウナギ密漁」、同2016年8月号特集記事「『土用の丑の日』はいらない」、同12月号拙著記事「世界が迫るウナギの取引規制」)。「違法漁業から水産資源・水産業を守る国際シンポジウム」での海部准教授の報告は日経でも特集記事として掲載された(志田富雄「ウナギの稚魚供給、7割に「不正」の疑い」日本経済新聞2016年11月27日付)。
 政治の側にも動きがみられる。自民党水産部会等の会合同会議の場で井林辰憲衆院議員は「(取引には)反社会的勢力の介在も指摘されている。警察関係者も招き、話を聞くべきだ」と提案、小林史明衆院議員と中谷元衆院議員もウナギの資源管理を担保する上で流通の透明性が必要と訴えている(みなと新聞2016年10月17日)。「違法漁業から水産資源・水産業を守る国際シンポジウム」でも中谷議員より対策の必要性が強い口調で訴えられた。
 将来にわたりウナギを食べ続けてゆくためにも、研究者サイドからの積極的な情報発信、ウナギ資源の危機に関する一般やメディアの関心の高まり、政治からのインプットを通じて、行政を動かしてゆく必要があるだろう。行政に関しても、ウナギ資源管理に関する意思と能力につき疑問を呈せざるを得ない水産庁のみで問題が解決し得ないのはこれまでの経緯からも明らかである。輸出入管理という面から税関、密輸対策として海上保安庁、組織犯罪という面から警察庁、資源調査及び管理という面から環境省という行政一丸となった取り組みが必要とされるだろう。現状の放置は、ウナギ資源の枯渇とワシントン条約での規制を招くのみである。

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